新型コロナウィルス(COVID-19)の影響で営業自粛を余儀なくされたのはナイトワーク業界も同じ。
自粛するのは簡単ですが、売上が全く無くなるわけですから経営者やそこで働く従業員にとっては死活問題です。
そこで叫ばれるのは「補償」。
ナイトワーク業界で働く人たちが受け取れる補償とはどんなものがあるのでしょう
働き方で受け取れる補償は異なる
同じナイトワーク業界で働いていても「働き方」で対象となる補償は異なります。
簡単に言ってしまえば従業員か否かの違いです。
それぞれについてまとめましょう。
共通で貰える「10万円給付」
メディアでも散々報道していますのでご存知でしょう。
国民全員に一律で給付される10万円はナイトワーク業界で働く方々も当然もらえます。
比較するのは何ですが、生まれたばかりの赤ちゃん(4月27日までに生まれた場合)も対象ですし、受刑者、ひいては死刑囚までが貰える一律っぷりですからナイトワーク業界の方々がもらえないわけはありません。
給付に関する手続きは各自治体で行っていますので進行スピードはまちまちです。
早々に案内が来て、すでに振り込まれた方もいれば、案内の送付にかなり手間取っている自治体もあります。
ネットでの受付も可能ですが気長に待つのもありです。
この先、第2弾・第3弾もあるかもしれませんので期待しておきましょう。
従業員のみが受け取れる補償は店舗から貰う
従業員として勤務している(していた)場合、国から直接貰える補償は他にありません。
基本的に店舗側が従業員に対して行った救済策に対して国からの補償を受けます。
従業員が店舗側から受けられるのは以下のものです。
休業手当
店舗が自粛等でやむなく休業した場合に受け取れるお金です。
店舗側は「雇用調整助成金の特例措置」を申請して上限8,330円を受け取れます。
特別有給休暇
コロナの影響で学校が休みになった小学生のお子さんの世話のために休む場合に、企業は通常の有給休暇とは別に有給休暇を取得させてあげることができます。
それを行った企業向けに国が補助金を出すわけです。
正確には「新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応助成金」です。
当然お子さんがいない独身者は対象外です。
個人事業主・フリーランスは自ら申請を行い補償を受ける
フリーランス・個人事業主は一人一人が社長。
自分のピンチは自分で解決しなくてはなりません。
補償の申請を自ら行う必要があります。
対象となる人たちは具体的に言うとキャスト(キャバ嬢・ホスト)、一部の送迎ドライバーなどです。
一時期はナイトワーク業界の対象者も補償に含めるかどうか問題になりましたが、最終的にはそんな区別(差別)はなくなりました。
持続化給付金
給付対象は「2020年1月以降で売上が前年同月比で50%以上減少している場合」。
期間中ずっと50%以上減っていなくても構いません。
2月だけ、3月だけなど1ヶ月間だけでもOK。
給付される金額の上限は100万円です。
申し込みはオンラインで。
持続化給付金
当然その事実を証明する必要があります。
従業員でなくても毎月給料(報酬)を貰った証明があるでしょうからそれを使います。
2019年の時点で開業していない場合、売上が下がったと証明できません。
そのため、当初は給付対象外でしたが、後に変更されました。
1~3月の平均売上から50%以上減少している月がある場合でも有効です。
ちょっと厳しい条件ではありますが、創業間もない人でも適用される可能性があります。
4月以降の創業者には今のところ給付はなさそうです。
恐らく、架空の会社を作って給付を受けようとする人が出てくる可能性があるからでしょう。
実際、今の制度の段階でも怪しげな動きをしている人たちもいるようです…
小学校休業等対応支援金
コロナに関連して子供の世話をするために仕事ができなくなった人を対象とした補償です。
小学校が休校になったが、1人で家に居させるわけいには行かない場合や、実際にコロナに感染した、または感染の疑いがある子供の対応をしなくてはならない場合などです。
コロナに感染した・またはその疑いがある子供の親が令和2年2月27日~6月30日までで休業した期間が対象です。
こちらも当然証明が必要です。
休校になった証明、仕事の依頼主との契約内容に関する書類などです。
1日4100円(定額)×日数が支給されます。
※4月以降の休業に関しては金額が異なるかも知れません(7500円)
新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応支援金
補償を受けられないパターン
お金が絡むことなので事実関係を証明できない場合は補償を受けられません。
それ以外だとナイトワーク業界ならではの理由もあります。
従業員の場合:店舗が税金を納めていない
従業員として働いていた場合に起こる不幸なケース。
休業手当・特別有給などを意図的に従業員に与えなかったのは恐らくこれが理由。
ちょっとしたお金欲しさに申請を出してしまったが故に税金関連で痛いところを付かれる可能性大。
追徴課税されてしまえば補償の額の数十・数百倍の損失になりえます。
あまり想像したくはありませんが、もっとも最悪なケースは「店舗は申請を出して補償を受けたが従業員には払わなかった」場合。
そんな店舗は絶対にない、と言い切れないのがナイトワーク業界ですね(苦笑)
個人事業主・フリーランスの場合:自分が確定申告をしていない
上記の税金のケースの個人版です。
店舗や会社が面倒な税金関係を処理してくれるのとは違い、個人事業主・フリーランスは自らこれを行わなくてはなりません。
普段から収入や支出(経費)をまとめていないと後々大変なことになります。
悪質な場合は店舗と同様に追徴課税の対象となりますのでご注意を。
個人事業主・フリーランスの場合で気をつけたいのが、自分が従業員として働いていないことをちゃんと認識すること。
特にキャバ嬢やホストなどの店で働く人たちは自分の立場を理解していない場合が多いです(全員が個人事業主とは限らないですが)。
中には店舗から「税金は店で払っている」と言われて安心している人もいるでしょう(実際に給料から10%ほど引かれている)。
しかし、実際に店舗側が支払っていなかったり、自身の売上額によっては支払う額が足りなかったりするのです。
これらの認識のズレで補償を受けられないケースを回避するために手続きの代行・サポートを行っている会社もあります。
不安な方は要チェックです。
ナイトワーカー救済持続化給付金申請HP
余談:ナイトワーク業界で働く人への補償に関する紆余曲折
案外ややこしいので時系列に沿ってまとめてみました。
政府が小中高校の休校を要請
3月2日から全国的に春休みまでの期間を休校とするよう要請が行われました。
一部の自治体では自主的な休校をすでに行っていましたが全国規模で行われたのはこのタイミングです。
子供の世話で休業を余儀なくされる人が出てくる
休校の影響が間接的に両親の仕事に影響を与えました。
子供がまだ面倒を見なくてはいけない年齢の場合、共働きの両親は仕事を制限したり休業しなくてはならない状況になりました。
企業に勤めている場合は企業を通して補償が受けられるわけですが、フリーランス(個人事業主)の場合は自分で申請する必要があります。
ナイトワーク業界で働く人たちの多くはこのフリーランスに該当します。
運営スタッフの場合は企業に勤める従業員の立場の人も多いですが、風俗嬢・キャバ嬢・ホストなどはフリーランス扱いの人が多いです。
風俗営業などの関係者は休業補償の対象外にされる
フリーランス向けの休業補償についての取り決めには風俗系の仕事をしている人が対象外にされていました。
その理由として挙げられていたのが「反社会勢力の資金源・資金洗浄に使われる恐れがある」から。
今回の件とは直接関係ありませんが、過去に助成金を不正に受け取っていた反社会勢力が関連した企業があったためです。
批判を受け、風俗営業も補償の対象に
関連する過去の実例や業界に対するイメージもあり、国側としては国民の理解はある程度得られると思ったのかもしれません。
しかし、意外と反発も多く、一旦「検討しない」と突っぱねたものの最終的には加藤厚生労働相が4月7日の会見で風俗業で働く人も対象になることを表明しました。
ついでに休校で出勤が出来なくなった従業員に特別な有給休暇を取得させた企業に対して支払われる助成金についても風俗業者を対象にするようにしました。
まとめ
ナイトワーク業界であろうと、真っ当に働き、真っ当に税金を納めていた方には補償を受ける権利があります。
堂々と胸を張って申請しましょう。
分からないこと・面倒なことは専門家に任せましょう。
お金は必要ですが、補償を全くもらえないよりはましですよ。